REPORT
巨大ヴィンテージ物件に住む
2023.
佐賀県嬉野市。美肌温泉でも知られる九州の左端に位置する小さな街。市街から山あいの集落に入って行くと、昭和に活躍した元JA(農協)の巨大な建物がポツンとある。たまたま渋谷の事務所で仕事の合間にネットを見てたらそこが賃貸に出されている事を知り釘付けに。ワンフロア丸々と屋上付き、駐車場も3台無料。外装も内装も自分好みでシブい。レトロ感満載の昭和当時のままの会議室や書庫、応接室など、、自分的に最強のヴィンテージ物件だった。これまで都内の様々なヴィンテージ物件を事務所としてデザインの仕事をしてきましたが、ここまで広大でカオス賃貸に出会ったのは始めてでワクワクが止まらず親友の意見も参考に、渋谷から拠点を移すことにした。自身九州に行くのは初、東京から3日車を飛ばして到着するとそこは自然の宝庫。あまりのギャップに自分でも笑えたがこの時の自分にはこれくらいの刺激が必要だった。すでにネットで不動産屋が物件映像を流してくれてたので渋谷にいながら借りる事は即決したものの、実際に到着して見てみると秘境感と建物の老朽感は秘密基地の様で内部の重厚なヴィンテージ感はたまらなかった。このマイ秘密基地をどう使おうかイメージが広がった。当初はハンバーガー屋にする計画だったが、人が歩いてないので断念。普通に自分だけの事務所兼住まいとして使うことにした。中でもお気に入りだったのは広大な屋上。ここが自分だけのスペースというのがウソのようで朝はここでお茶を飲みジョギングしたり夜は満点の星を見たり贅沢に使えた。また初の田舎暮らしという事で生活面も心配がなかったわけではないが特に問題はなく、市の方があたたかく出迎えてくださり街の皆様にも良くして頂きました。仕事も市役所の名刺カードや街のデザインなどをやらせて頂き、釣りとデザインの夢のスローライフを1年間実現させて頂きました。地方や過疎地にはまだまだこの様な魅力的な空き家物件がわんさかあり、もっと好きな人と物件が簡単に出会えれるようになればいいのになと思う。オシャレ不動産サイトより市のホームページなどの空き家バンクで検索するといろいろおもしろ物件がありますよ。住みたい場所がハッキリしてたら直接、役所に電話してもいいかもしれません。私は今回、後先考えず住み移りましたが、いくつになってもこれくらいの冒険心は持っていないと人生面白くないと思う。そして人の「すみか」である「物件」探しも永遠にワクワクするコト。特に今回のここはこれまでにない強烈物件であった。